PC2台をそれぞれ拡張デスクトップ(モニター2台)で使っている場合、キーボード・マウスだけでなく、モニター2台分の映像もまとめて切り替えたくなります。しかし一般的なKVMスイッチの多くはモニター1台構成向けで、モニター2台に対応した製品は種類が限られます。
この記事では、PC2台・モニター2台の構成に対応したKVMスイッチを、接続条件別に紹介します。
なお、「KVMスイッチとは何か」自体をまだ理解していない場合は、先にKVMスイッチとは?仕組み・USB切替器との違い・向いている人を解説を確認してください。モニターが1台の構成、またはPC接続台数・映像端子などKVM全般の選び方を知りたい場合は、KVMスイッチのおすすめ|PC台数・映像端子・USB規格で選ぶで扱っています。
デュアルモニターKVMを選ぶ前に確認すること
製品を比較する前に、まず自分の構成を確認してください。
本当にPC2台・モニター2台の構成か
PCが2台あっても、モニターが1台しかない場合は、この記事で紹介する製品は対象外です。その場合はKVMスイッチのおすすめで紹介しているモニター1台向けの製品を確認してください。
拡張デスクトップのまま切り替えたいか
この記事で扱うのは、2台のモニターを拡張デスクトップ(2画面を1つの作業スペースとして使う構成)のまま、PC1とPC2で丸ごと切り替えたいケースです。動画編集・プログラミング・トレード・デザインなど、2画面前提の作業を複数のPCで続けたい場合が該当します。
2台のモニターを両方のPCで共有する構成か
1台のモニターをPC1専用、もう1台をPC2専用として固定的に使う場合は、KVMスイッチではなくモニター側の入力切り替えだけで対応できることもあります。この記事が対象とするのは、2台のモニターをPC1・PC2のどちらからも使えるように、まとめて切り替える構成です。
キーボード・マウスの共有だけで映像の切り替えが不要な場合は、KVMスイッチよりもUSB切替器のほうがシンプルです。USB切替器とKVMの違いで判断基準を確認できます。
デュアルモニターKVMは3つの条件で選ぶ
構成が合っていることを確認できたら、次は製品選びです。デュアルモニター対応KVMスイッチは、主に3つの条件で絞り込めます。
映像端子(HDMI・DisplayPort)を確認する
PCとモニターの映像端子がHDMIかDisplayPortかで、対応する製品が変わります。両方に対応した製品は少ないため、まず自分のPC・モニターの端子を確認してください。
解像度とリフレッシュレートを確認する
デュアルモニター対応KVMスイッチは、4K/60Hzまでの製品と、4K/120Hz以上・8K/60Hzまで対応する高性能な製品に分かれます。高リフレッシュレートのゲーミングモニターやクリエイティブ用途の高解像度モニターを使っている場合は、対応するリフレッシュレートを確認してください。
USB規格・EDID・対応OSを確認する
USB規格はキーボード・マウスの共有だけならUSB2.0でも十分ですが、外付けストレージなど他のUSB機器も共有したい場合はUSB3.0対応かを確認します。
EDID関連機能(PC切り替え後の解像度維持に関わる機能)は、製品によって公式ページでの記載の詳しさが異なります。記載がない製品について「対応していない」と断定はできないため、必要であればメーカーに直接確認することをおすすめします。
対応OSも製品ごとに差があります。Windows・macOS以外にChromebookでの利用を想定している場合は、個別に確認してください。
デュアルモニターKVMのおすすめ3選
メーカー公式情報で仕様を確認できた3製品を、条件別の候補として整理します。順位ではなく、3つの接続条件それぞれに対する候補です。
| 条件で選ぶなら | 製品 | 映像端子 | 最大解像度/リフレッシュレート | USB規格 | EDID | 対応OS | 電源方式 | 参考価格 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| HDMI環境で4K60Hzまでで十分 | SW-KVM22HUUS | HDMI | 4K(3840×2160/4096×2160)/60Hz | USB2.0 | 公式ページに記載なし | Windows, macOS | USBバスパワー | 21,780円(税込) |
| HDMI環境で4K120Hz以上・高リフレッシュレートが必要 | RS-260UH2-8K | HDMI | 8K(7680×4320)/60Hz、4K/120Hz対応 | USB3.0対応 | 公式ページに記載なし | Windows 11/10、macOS Sonoma、Chromebook | ACアダプタ | オープン価格 |
| DisplayPort環境、またはEDIDエミュレーションを重視 | DKS202-M24 | DisplayPort 1.4 | 8K/60Hz、4K/144Hz対応 | USB3.0 | スマートEDIDエミュレーション対応 | 公式ページに記載なし | ACアダプタ(DC12V) | 58,100円 |
この表は接続条件別の適合性を整理したもので、総合的な順位ではありません。価格は各メーカー公式情報時点の参考価格であり、変動する場合があります。購入前に各販売ページで最新価格を確認してください。
HDMI環境の標準候補ならSW-KVM22HUUS
サンワサプライのSW-KVM22HUUSは、HDMI接続のモニター2台・USBキーボード・USBマウスを、PC2台で切り替えて共有できるデュアルディスプレイ対応KVMスイッチです。
最大解像度は4K(3840×2160または4096×2160)/60Hzに対応しています。電源はUSBバスパワー(DC+5V、最大消費電流480mA)で動作するため、ACアダプタが不要です。切り替えは本体ボタンのほか、付属のリモコンにも対応しています。
USB規格はUSB2.0で、対応するのはキーボード・マウスの共有のみです。外付けストレージなど他のUSB機器を共有したい場合は、後述するRS-260UH2-8Kのほうが向いています。対応OSはWindows OSとmacOSです。
なお、型番が非常によく似た「SW-KVM2HUUS」(22ではなく2)という別製品が存在します。SW-KVM2HUUSはモニター1台・4K/30Hz対応の製品で、本製品(SW-KVM22HUUS、モニター2台・4K/60Hz)とは仕様が異なります。購入時は型番を確認してください。
4K120Hz以上・高リフレッシュレートならRS-260UH2-8K
ラトックシステムのRS-260UH2-8Kは、HDMI接続のモニター2台を、USBキーボード・マウス・USB3.0機器とあわせてPC2台で切り替えられるKVMスイッチです。
最大解像度は8K(7680×4320)/60Hzに対応し、4K/120Hzや2560×1440/144Hzといった高いリフレッシュレートにも対応しています。HDMI2.1で規定されるVRR(可変リフレッシュレート)・ALLM(自動低遅延モード)にも対応しており、ゲーミングモニターや高リフレッシュレート環境で、モニター2台構成のまま高い映像品質を維持したい場合の候補です。
USB Type-A×4(キーボード・マウス用×2、USB3.0対応×2)とUSB Type-B×2を備え、他のUSB機器の共有にも対応します。3.5mmミニジャックによる音声出力にも対応しています。対応OSはWindows 11・10に加えmacOS Sonoma、Chromebookまで幅広く、電源はACアダプタで動作します。
DisplayPort環境ならDKS202-M24
TESmartのDKS202-M24は、DisplayPort 1.4接続のモニター2台をPC2台で切り替えられるKVMスイッチです。
PCやモニターがDisplayPort接続の場合、HDMI対応製品では接続できません。DisplayPort環境でモニター2台構成を組んでいる場合は、この製品が候補になります。
最大解像度は8K/60Hz、4K/144Hzまで対応しています。スマートEDIDエミュレーション機能を搭載しており、PC切り替え後の解像度維持を重視する場合に選択材料になります。G-Sync・FreeSyncやDSC 1.2a技術にも対応しており、切り替えはワンタッチ操作と付属のIRリモコンに対応しています。電源はDC12VのACアダプタで動作します。対応OSやオーディオ対応については、公式ページに記載が見当たりませんでした。
まとめ:条件で選ぶデュアルモニターKVM
モニター2台構成のKVMスイッチ選びで最初に決めるのは、製品ではなく自分の接続条件です。
- HDMI環境で4K60Hzまでの標準的な構成 → SW-KVM22HUUS
- HDMI環境で4K120Hz以上・高リフレッシュレートが必要 → RS-260UH2-8K
- DisplayPort環境、またはEDIDエミュレーションを重視する → DKS202-M24
まず本当にモニター2台構成かどうかを確認したうえで、映像端子・解像度/リフレッシュレート・USB規格を照らし合わせれば、自分の環境に合う候補を絞りやすくなります。
デュアルモニター以外にも、USB-C接続のノートPCを含む構成など、より専門的な条件については、それぞれの条件に特化した記事で今後詳しく扱う予定です。
