PC2台でキーボードやマウスを共有しようとUSB切替器を探すと、4ポートの製品もあれば1ポートの製品もあり、価格も端子構成もばらばらで迷います。
結論から言うと、USB切替器は一番高機能な製品を選ぶ買い物ではありません。自分が共有したいUSB機器に合わせて選ぶのが基本です。
見るところは5つあります。共有する機器の数、USB-AとUSB-Cの内訳、必要なUSB規格、給電条件、そしてPC側の端子です。この5つが決まれば候補は自然に絞れます。
なお、キーボードやマウスだけでなくモニターの表示も一緒に切り替えたい場合、USB切替器では解決しません。その場合はKVMを検討することになるので、先にUSB切替器とKVMの違いを確認してください。
この記事では、メーカー公式情報で仕様を確認できた3製品を、用途別の候補として整理します。
USB切替器おすすめ3選を先に比較
先に全体像です。順位ではなく、3つの利用条件それぞれに対する候補として並べています。
| 比較項目 | 400-SW041 | UGREEN 30768 | 400-SW020 |
|---|---|---|---|
| 向いている用途 | USB-AとUSB-Cの機器を混在して共有 | USB-A機器をまとめて共有 | USB機器を1台だけ共有 |
| 接続できるPC | 2台 | 2台 | 2台 |
| 共有できるUSB機器 | 最大4台 | 4台 | 1台 |
| 周辺機器側の端子 | USB-A ×2 / USB Type-C ×2 | USB-A ×4 | USB-A ×1 |
| USB規格・公称最大速度 | USB 5Gbps | USB 3.0(公称最大5Gbps) | USB 2.0 |
| PC側の接続方法 | 付属の専用ケーブル(変換アダプタでUSB-A・USB Type-Cに対応) | USB-A(PCがUSB-Cのみなら変換が必要) | USB-B(A-Bケーブル) |
| 補助給電 | あり | あり(電源アダプタ・給電ケーブルは付属しない) | なし |
| PC接続ケーブル | 付属 | USB-A to USB-A ×2付属 | A-Bケーブル1.8m ×1付属 |
この表は用途別の適合性を整理したもので、総合的な順位ではありません。価格や在庫は変動するため、購入前に各販売ページで確認してください。
同じ「4ポート」でも400-SW041とUGREEN 30768では端子の内訳が違います。ここが選び分けの分かれ目になるので、次に見るポイントで詳しく扱います。
USB切替器は5つのポイントで選ぶ
商品ページを開く前に、この5つを自分の環境で決めておくと候補が絞れます。
1. 共有するUSB機器の数
最初に数えるのは、2台のPCで使い回したいUSB機器の数です。
キーボードとマウスの2台なのか、そこにプリンターやWebカメラも加えて4台なのか。プリンターだけを共有したいのであれば1台です。
ポート数は多いほうが安心とは限りません。共有するのが1台だけなら、4ポートの製品を選んでも3ポートは空いたままになります。必要な数を満たす製品が候補になる、と考えてください。
2. USB-A / USB-Cの内訳
次に、その機器の端子がUSB-AかUSB Type-Cかを分けて数えます。合計数だけでは製品を選べないからです。
たとえば同じ4ポートでも、内訳はこう違います。
- 400-SW041:USB-A ×2 + USB Type-C ×2
- UGREEN 30768:USB-A ×4
USB-Aの機器を4台つなぎたい人が400-SW041を選ぶと、そのままつなげるのは2台までです。逆にUSB Type-Cの機器を直接つなぎたい人にとって、USB-A ×4の製品は要件を満たしません。
「4ポート」という数字は同じでも、中身は別物です。
3. 必要なUSB規格・転送速度
USB規格は、高速なUSBストレージなども共有するかどうかで見る項目です。
キーボードやマウスなど、転送速度を重視しない機器だけを共有するなら、USB 2.0の製品も候補になります。外付けSSDやUSBメモリで大きなファイルをやり取りするなら、USB 5Gbpsクラスの製品が候補になります。
ただし、メーカーが公称する規格上の速度と、実際に出る速度は同じではありません。実際の転送速度は使用環境によって変わるため、公称最大速度がそのまま出るとは限りません。「5Gbps対応」は規格の話である、と理解しておいてください。
4. 補助給電が必要か
補助給電の端子があると高性能、という話ではありません。接続する機器の消費電力で判断する条件です。
バスパワー駆動の外付けHDDやスキャナーのように消費電力が大きい機器を共有する場合は、給電まわりの仕様を確認しておく必要があります。
400-SW041はこの点をメーカーが数値で公開していて、バスパワー時は全ポート合計で最大900mA、5V/2A以上のUSB ACアダプタを接続した場合は全ポート合計で最大2,900mAとされています。消費電力の大きい機器を想定するなら、こうした数値が確認できる製品のほうが判断しやすくなります。
5. PC側がUSB-AかUSB-Cか
見落としやすいのが、周辺機器側ではなくPC側の端子です。USB Type-Cポートしかないノートパソコンでは、そのままつながらない製品があります。
3製品で確認できている接続方法は次のとおりです。
- 400-SW041:付属の専用ケーブルに変換アダプタが付いており、PC側のUSB-AとUSB Type-Cのどちらにも対応します
- UGREEN 30768:付属するのはUSB-A to USB-Aのケーブルです。PCがUSB-Cのみの場合は、公式販売ページの案内どおりC→AのOTG変換を介して付属ケーブルを使います
- 400-SW020:PC側はUSB-Bで、付属のA-Bケーブルで接続します
「USB-C対応」と書かれていても、変換を挟むのか、そのままつながるのかは製品によって違います。手元のPCの端子を確認してから商品ページを見てください。
USB-AとUSB-Cを混在して4台共有するなら400-SW041
USB-Aの機器とUSB Type-Cの機器の両方を、2台のPCで使い回したい人向けの候補です。
サンワダイレクトの400-SW041は、2台のPCで最大4台のUSB機器を共有できるUSB切替器です。周辺機器側はUSB-Aが2ポート、USB Type-Cが2ポートで、AとCが2つずつという構成になっています。規格はUSB 5Gbps準拠で、USB 2.0/1.1との上位互換もあります。
この製品が混在環境に向くのは、変換アダプタを別途用意しなくてもUSB Type-Cの機器をそのまま挿せるからです。USB-Aだけの製品にUSB-C機器をつなごうとすると、機器の数だけ変換アダプタが増えていきます。
PCとの接続は、付属する変換アダプタ付きの専用ケーブルにより、PC側がUSB-AでもUSB Type-Cでも接続できます。
給電については、入力電力は5V/2Aまでで、バスパワー時の供給電流は全ポート合計で最大900mA、5V/2A以上のUSB ACアダプタを接続した場合は全ポート合計で最大2,900mAと公開されています。切替は本体ボタンで、LED表示と日本語の取扱説明書が付きます。
対応OSはメーカー公式ページに記載があり、Windows 11やmacOS 26を含む範囲が対象です。ただし対応OSの記載は、接続するUSB機器すべての動作を保証するものではありません。
注意点としては、USB-Aの機器を4台つなぎたい場合には向かないことです。USB-Aは2ポートなので、その用途なら次のUGREEN 30768のほうが構成に合います。
USB-A機器を4台共有するならUGREEN 30768
共有したい機器がUSB-Aばかりで、台数が3〜4台になる人向けの候補です。
UGREENの30768は、2台のPCで4台のUSB機器を共有できるUSB 3.0対応の切替器です。周辺機器側はUSB-Aが4ポートで、公称最大速度は5Gbpsとされています。日本国内でもメーカー公式の販売チャネルで取り扱いを確認できます。
400-SW041との違いは端子の内訳です。あちらはUSB-A ×2+USB Type-C ×2、こちらはUSB-A ×4。キーボード、マウス、プリンター、USBレシーバーのようにUSB-Aの機器が並ぶ環境では、こちらのほうがポートを無駄なく使えます。
PCとの接続には、USB-A to USB-Aのケーブルが2本付属します。PC側がUSB Type-Cしかない場合は、公式販売ページで案内されているとおり、C→AのOTG変換を介して付属のUSB-Aケーブルを使う形になります。この一手間が必要になる点は、USB-CのみのノートPCで使うなら押さえておきたいところです。
補助給電用の端子は備えていますが、電源アダプタと給電ケーブルは付属しません。消費電力の大きい機器を共有する予定があるなら、別途用意する必要があります。
対応OSは公式販売ページに記載があり、Windows 11などのWindows系のほか、「Mac X」およびLinuxが挙げられています。この「Mac X」はメーカーの表記そのままで、対応するmacOSのバージョンが具体的に示されているわけではありません。Macで使う予定なら、購入前に販売ページの記載を確認してください。
USB Type-Cの周辺機器を直接つなぎたい場合には向きません。周辺機器側のポートはUSB-Aのみです。
USB機器1台だけ共有するなら400-SW020
プリンターや複合機など、共有したいUSB機器が1台に決まっている人向けの候補です。
サンワダイレクトの400-SW020は、2台のPCで1台のUSB機器を共有するUSB切替器です。規格はUSB 2.0準拠で、周辺機器側のポートはUSB-Aが1つ。PC側はUSB-Bが2つで、A-Bケーブルが1本付属します。切替は本体ボタン、LED表示もあります。
共有するのが1台だけなら、4ポートでUSB 5Gbps対応の製品が必須というわけではありません。プリンターを2台のPCから使いたいだけの環境で、使わないポートのために構成を複雑にする理由はないからです。
対応OSはメーカー公式ページに記載があり、Windows 11やmacOS 26を含む範囲が対象です。この点も、OSが対応していることと、つなぐUSB機器が正常に動作することとは別だと考えてください。実際、メーカー自身もマウスやキーボード等について全機種の動作を保証してはいません。
制約もはっきりしています。メーカー公式では、バスパワーで動作する外付けHDDやスキャナーのように消費電力が大きい機器では、電力不足で動作が不安定になる場合があると明記されています。補助給電の端子はないため、消費電力の大きい機器を想定するなら候補から外れます。
また、周辺機器側が1ポートなので、キーボードとマウスを同時に共有する使い方はできません。その用途なら4ポートの製品を見てください。
買う前に確認したい注意点
映像も切り替えたいならUSB切替器ではありません。
まず確認したいのがここです。USB切替器が切り替えるのはUSB機器だけで、モニターの表示は切り替わりません。
PCを切り替えるたびに画面も一緒に切り替えたいなら、必要なのはKVMです。どちらを選ぶべきかはUSB切替器とKVMの違いで整理しているので、迷っている段階ならそちらを先に読んでください。
もっとも、モニター側の入力切替で足りる場合もあります。USB機器の共有だけをUSB切替器に任せる、という構成は現実的な選択肢です。
USBストレージを共有するときは切替操作に注意してください。
USBメモリや外付けストレージを共有する場合、データの転送中に切替操作を行わないでください。転送中の切替は、書き込みの中断につながります。
取り外しの手順は、使っているOSの案内と、購入した製品の取扱説明書に従ってください。製品によっては、切替前に「ハードウェアの安全な取り外し」を求めるものもあります。
対応OSと、つなぐ機器が動くかどうかは別の話です。
3製品ともメーカーの公式ページに対応OSの記載があります。ただし繰り返しになりますが、対応OSはあくまでOSの話です。
特殊なキーボード、多機能マウス、USBレシーバー、Webカメラ、バスパワーで動く機器などは、切替器を挟んだときの動作が機器側の仕様にも左右されます。手持ちの機器で不安がある場合は、その機器の仕様も合わせて確認しておくと安全です。
迷ったときの選び方
ここまでの内容を、選ぶ順番として整理します。
1. 共有したいUSB機器は何台か
- 1台だけ → 400-SW020が候補
- 2〜4台 → 次へ
2. その機器の端子は何か
- USB Type-Cの機器も直接つなぎたい → 400-SW041が候補
- USB-Aの機器だけ → UGREEN 30768が候補
3. 候補が決まったら、次の3点で見直す
- 高速なUSBストレージを共有する → USB規格と公称最大速度を確認する
- 消費電力の大きい機器を共有する → 補助給電の有無と給電まわりの仕様を確認する
- PC側がUSB Type-Cだけ → PCとの接続方法と、変換が必要かを確認する
3つ目の見直しで条件が合わなければ、ひとつ前の分岐に戻ってください。たとえば共有するのが1台でも、それがバスパワー駆動の外付けHDDなら、400-SW020は候補から外れます。
ここで挙げているのはあくまで候補です。最終的には、自分の機器構成と照らして商品ページの仕様表を確認してから決めてください。
まとめ:ポート数ではなく「何を共有するか」で選ぶ
USB切替器選びで最初に決めるのは、製品ではなく自分の条件です。
- USB-AとUSB Type-Cの機器を混在して共有したい → 400-SW041
- USB-Aの機器をまとめて共有したい → UGREEN 30768
- 共有するUSB機器は1台だけ → 400-SW020
同じ4ポートでも端子の内訳は違いますし、1台しか共有しないなら4ポートである必要もありません。ポート数の多さや規格の新しさは、そのまま「良い製品」を意味しないということです。
共有する機器の数と端子を数えて、必要なUSB規格と給電条件、PC側の端子を確認する。この順番で確認すれば、自分の環境に合う候補を絞りやすくなります。
映像も切り替えたい場合は、そもそもカテゴリが変わります。判断がついていないなら、USB切替器とKVMの違いを確認してから戻ってきてください。
